絡まりユニオ日記

気になった映画についての覚書

イコライザーメモ

暗い過去を抱えた男が少女売春婦を守ろうと決意し、敵のマフィアに戦いを挑み勝利する。という表面上のストーリーやキャラクター配置はタクシードライバーに似ているが、ストーリー構造は全く異なる。

タクシードライバーは主人公がベトナム帰りで不全感を抱えて社会全体を憎んでおり、社会に適合しようとデートしたり政治に参加しようとしたりするがアプローチが独特すぎるつまり欲望の発露がアクが強すぎて人と関われないので鬱憤を溜め込みついには暴発するというストーリー軌道を描く(溜め込んだ末の暴発なので、激しい暴力は最後の数分クライマックスのみ)に対し、イコライザーはもっとわかりやすい構成をとる。主人公はみんなの保護者であり、悪が守るべきもののところに現れたらみんなを守る。ミッドポイントからはスペツナズの悪役との対決に切り替わり、悪を文字通り倒し、掲示板開設しみんなのスーパーヒーローとなる。

ストーリー構造が似てるのはむしろグラン・トリノイーストウッドは過去があり気難しいがモン族の家族を守ろうとする。少年を「漢」に育てようとするサイドストーリーも同じ。イーストウッドは撃たれることでギャング達を逮捕せしめ死んでモン族共同体のヒーローとなる。さらに、2つの映画は主人公が最後まで銃を撃たずに事件を解決する点でも同じ。

なので、イコライザーはいわゆるヴィジランティモノではなく、ストレートにスーパーヒーローモノというべき。ヴィジランティモノの重要な要素は主人公の正義感と社会常識のずれにあるはずだが、イコライザーは主人公の暴力性をみて誰かが引いたり社会を敵に回すシーンが全くない。元CIAのおばちゃんが背中を押すことはすれど、逆に引き止める(障害になる)キャラクターがいない。

 

pg12だが、ロシアンマフィアが全く怖くない。主人公が強すぎるせいもあるが、イースタンプロミスの百分の1にも満たない怖さ。